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全国学童保育連絡協議会の調査報告を見て

東京の最低賃金より低い国の補助単価。驚くべき実態を明らかに

全国学童保育連絡協議会が3月29日に5年ぶりとなる学童保育の詳細な全国調査報告を発表しています。たいへんすぐれた資料です。ぜひご一読ください。→全国学童保育連絡協議会HP http://www2s.biglobe.ne.jp/Gakudou/
 さて、学童保育事業は1997年に保育所と同様の第2種社会福祉事業として法制化されたものの、最低基準もなく公的責任もあいまいで、財政措置も不十分な状況がつづいています。

 一方で、経済状況や地域社会の崩壊などの社会情勢の変化に伴いニーズが高まり、1998年の9,627か所児童数333,100人から2012年20846か所846,967人へと増加しています。
 しかし、先にあげた3つの問題は深刻です。

(1)最低基準がない…学童保育には保育のようにいわゆる国の「最低基準」はありません。国が示しているのは努力目標的な「ガイドライン」です。そのため、区市町村が独自に運営基準やガイドラインを策定しているのは37.2%509自治体となっています。つまり、半数以上の自治体が施設ごとの基準のない運営を「了」としています。さらに基準やガイドラインを策定している自治体のうち「拘束力がある」と答えた自治体は半分しかありません。

(2)公的責任があいまい…現行保育制度のもとで、認可保育所を希望しても入所できない場合、自治体はその数を把握すること。そして待機児の解消にむけて努力する責任があります。
 しかし、学童保育制度のもとではこのこと自体があいまいです。学童連協の調査によると、待機児童の把握をしていると回答した自治体は1315自治体のうち724(55%)半数近くの自治体が把握をしていないという結果となっています。「待機児童がいる」と回答した自治体は298で合計5936名の待機児童がいます。

(3)財政措置が不十分…保育所や介護施設の低賃金と人材確保難と同様、あるいはそれ以上に学童保育の働き続ける環境が劣悪です。学童連協の調査によると、個別調査した11034名のうち44.8%が経験年数3年以下。平均勤続年数は5.5年という結果でした。指導員の年収は150万円以下が68.2%。年収300万円以上はわずか9%という状況です。さらに社会保険に加入している指導員は63.5%、労働保険に加入していない指導員が8.6%という状況におかれています。
 こうした低賃金の背景としては国の学童保育への補助単価が低いことにあります。
 学童連協が試算した2012年度の学童保育補助単価は、なんと1時間あたり837円しかなく、東京都の最低賃金(850円)を下回る水準です。
 これぞまさに公が作り出した官製ワーキングプアです。


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