【13.03.11】東日本大震災から2年。宮城支部からメッセージ
復興へのスタートははじまったばかり
3・11が近づくとあの日の記憶も同時に蘇ってきます。「自らの死」を思いながらも「子どもたちの命だけは助けたい」と思ったあの日の記憶。余震の続く中降り出した雪。寒さに凍え、状況が全く分からない中で「大丈夫だよ。」と子どもに何度も繰り返し伝えた記憶。
二年が経過しようとしている今、津波被害にあった保育所は、移転し再建された所もありますが、反面遅々として再建の進まない所も数多くあります。仮設園舎での保育や、高齢者施設、公民館等での間借り保育が今もなお行われています。津波によって家が流され、地域がバラバラにされ、慣れない仮設住宅での生活を余儀なくされている子どもたち。本来あったはずの仲間や信頼関係の築かれた保育士との生活、地域の人たちとの繋がりの中で成長していくはずだった子どもたちの「権利」が奪われたままです。また、津波被害の大きかった地域は、町そのものが無くなり、高台に残った老朽化している保育所に集約され合同の保育が行われています。
3・11以降続く余震の影響もあり、建物の損壊で雨漏りのする横で子どもたちが昼寝をしている保育所もあります。町自体が壊滅的で丸ごと再建しなくてはならない自治体では、町の再建が最優先であり、子どもや保育は後回しであるのが現状です。被災地の人々にとって「復興」はおろか「復旧」すら感じられないのが今の被災地です。福祉に携わる人間として、自治体や国の公的責任のもとでの迅速な復興、震災を教訓とした制度作りを訴えていく事は勿論、日々先の見えない状況の中で暮らす人たちを支援していく事も必要だと思います。支援することで明日を生きる希望がうまれ、その希望が周りに派生していく事で、地域の再生、復興に繋がるのだと思います。そう言った意味でも福保労で取り組んでいる、仮設住宅で作るキャンドルを灯し復興を願う「明日を灯すキャンドルプロジェクト」は、被災地に行かなくても全国から思いを届けられる支援です。2013年2月現在2000ものキャンドルが全国に渡っています。購入支援は「忘れてないよ」「思いを寄せてるよ」というメッセージを届けることになります。「忘れられていない」という実感こそが希望であり心の復興への一歩だと思います。復興へのスタートは始まったばかりです。
宮城支部 加藤 望