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【12.12.20】モンテスキューを思い出そう

滋賀県知事・大阪市長の「野望」

 選挙中、一番奇妙で違和感を覚えたことは、橋下大阪市長、嘉田滋賀県知事という行政の首長が、来年度の予算編成をしているさなかに1政党の党首(代表)として、全国各地で遊説していたことだ。なぜ、選挙によって選ばれた職務・職責を全うせず全国を飛び回れるのか。特に橋下市長は、公務員の政治活動をあれほど弾圧していながら、自らは「特別職」だからと市役所を不在にしていられるのか。
 民間の企業の社長や私たち福祉職場の施設長などにおきかえてみればよくわかると思う。「特権」を利用してまでやっていいことなのだろうか。
 決して、評価しているつもりではないが「国政に進出する」とさっさと辞任した石原慎太郎前都知事がまともに見えてしまうほどだ。

 滋賀県議会の19日の一般質問で、嘉田知事は知事と党代表の兼務の必要性を繰り返し訴えたという。嘉田知事は「(平成26年の)任期満了まで知事としての職務を全うしたい」と発言し、参院選への出馬を打ち消してはいるが、他方で首長と国会議員の兼職を可能にする法案に興味を示すなど、法案成立次第では、国政に進出し「兼務」の可能性を残している。橋下市長も「兼務」に興味ありありだ。

世界史のモンテスキューを思い出してほしい。彼は、権力の濫用を防ぐために、また国民の政治的な自由を保障するために、国家の権力を立法・司法・行政の三権に分け、それぞれ独立した機関にゆだねようとする「三権分立」を説いた。この考えは、世界中の憲法に強い影響を与えるとともに、現行の日本国憲法でも採用されている。(ちなみに大日本帝国憲法では、三権分立はあったものの最終的にはすべて天皇が統治する(統治権)システムだった。)
 もうひとつ抑えてほしいのはここでいう「権」とは、「権利」ではなく「権力」のことを指す。個人が三つの権力のうち二つの権力を手に入れることの危険性はこのうえないことだ。
 ゆえにいかなる権力者であっても、善良で優秀な人物であっても、ダメなものはダメと言わなければならない。

 無論、二足のわらじを履くほど知事や市長の仕事は楽でないとも思う。

 


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