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平和

原水禁世界大会報告(13)福祉保育労福島支部の報告

【8月5日 福祉保育労「平和のつどい」にて】

東日本大震災、福島原発事故以降、全国・全世界の皆様には多くのご支援とあたたかいはげましをいただいていることに感謝申し上げます。
 原発事故以降、私たちの仕事は通常の保育にプラスして様々なやらなければならない業務が増えました。保育園内外の除染。園庭の表土除去はしましたが、まだ手つかずのところもあります。線量の測定。食品の線量測定。親へ保育についてのアンケートを実施し、あそびや行事、ひとつひとつのことについて親の意向も聞きながら考えています。
 
 保育の中身では、子どもの活動の制限がとても大きくなっています。地域の除染はまだ行われていないので、散歩へは行っていません。保護者の同意があり散歩をしている保育園は、まわりのものには触れず線量を測定しながら、乳母車に乗せて散歩に出かけています。
 園庭へは出て遊んでいますが、遊ぶ時間や、砂や草木にはさわらないなどのさまざまな制限をしなければなりません。砂場の砂を県外産のものに入れ替えをして砂遊びをはじめている保育園も出てきました。「室内のほうが安全」と、室内で砂遊びをおこなうところもあります。子どもたちの体力低下もみられます。保育内容やあそびの工夫、この環境の中で今できるあそびは何か。試行錯誤をしながら考えあっています。震災前は、夏野菜などを自分たちでつくり楽しみながら収穫をし、食べていました。しかしいまはそれができないか、つくっても土や水の配慮をして、できたものは食品線量計にかけて、安全なものなら食べるようにしています。

 子ども一人ひとりへの個別対応(ex.外遊びをしたら着替えさせてほしい。長そでを着せてほしい等々)をしながら、保護者の不安や悩みを聞いたり、自分たちが学習して得た知識を保護者へ伝えたりしながらかかわっています。
まずは私たち自身が放射能のこと、生活していくうえで気をつけなければならないことや過剰に心配しなくても大丈夫なことなどを学び、知識としてもってなければなりません。
 保護者はいつも悩みながら生活しています。常に放射能のことと向き合わなければならない毎日、子どもの育ちのことや将来のこと、健康のこと・・・。
 子どものことだけでなく、仕事や生活や家族がいっしょにいることの大切さなど様々な思いや葛藤をもちながら、ここを離れていったり、ここで暮らしていきたい、頑張っていこう。と決め頑張っている人がたくさんいます。

 介護関係では、介護を必要としているお年寄りは増えているのに若い世代が県外に流出してしまい、働き手がいなくていくら求人を出しても職員が集まりません。浜通り(福島県の海沿いの地域)から福島市内などに避難されている利用者がいて人数は増えているのに、職員の人では変わらないのです。看護師や医師も県外に流出してしまい、医療現場でも人手不足が深刻です。今働いている人たちにしわ寄せがいき、皆疲労がたまっています。老人施設でも早く除染をおこない、若い職員が安心して働ける環境にしてほしいです。

 「科学的に安全な福島」よりも「安心して住める福島」に。国と東京電力は責任を認め、福島に住む人たち、避難しなければならなかった人たちが安心して生活していくためにできる努力をおしまないでほしいです。
長期にわたる「被害を受けた人たち、県民への安心できる生活の保障と健康管理」を、「子どもたちの発達の保障」を国・東電が責任をもって行うことを望みます。あたりまえのことができない。異常のなかで、生活しなければならない。こんな思いをするのは、私たち(福島)で最後にしてほしいのです。そのために原発は必要ありません。

 全国のみなさん。マスコミのみなさん。東日本大震災、福島の原発事故は、現在進行形です。どうか忘れないでください。
 

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