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【12.06.19】国民不在の3党合意、原発再稼働に断固抗議する(談話)

全国福祉保育労働組合中央書記長談話

2012年6月18日
国民不在の3党合意、原発再稼働に断固抗議する(談話)
全国福祉保育労働組合書記長 仲野智

国民不在、議会軽視の密室談合を強く抗議する

 6/15(金)民主・自民・公明の3党協議により、「社会保障と税一体改革」をめぐる修正協議が合意された。国会の議席数の関係により、この3党合意をもって「消費税増税合意」と発表するメディアも少なくない。しかし、多数の国民が消費税増税に反対しているなか、国会の審議をも無視した3党の密室談合で消費税増税に「決着」がついたことにしてはならない。
 民主党のマニュフェストである最低保障年金の創設や後期高齢者医療制度廃止は「社会保障制度改革国民会議」へ、所得税の最高税率の引き上げや相続税の拡大など富裕層への課税強化は来年度の税制改正に先送りするなど、庶民負担のみを強化する「消費税増税まずありき」の談合を決して許してはならない。
消費税増税反対・社会保障の充実を求める国民の声を踏みにじる暴挙を許さず、「社会保障と税一体改革」の廃案をめざす大きな運動を今以上に強める必要がある。

3党合意は国民負担をさらに強めるもの

 修正協議とあわせて3党が合意した「社会保障制度改革推進法案」は、新自由主義路線での社会福祉・社会保障破壊をいっそう進める内容となっている。社会保障の基本を「自立を家族相互、国民相互の助け合いの仕組みを通じて支援」と規定して、「自己責任」を一層強化しようとしている。社会保障への公費削減をめざし、社会保障給付の重点化・効率化のもと、医療・介護での保険適用範囲の限定(縮小)、生活保護の改悪などを打ち出している。社会保障への国の責任放棄、憲法25条の空洞化を許してはならない。
 社会保障の財源としては「消費税収(国・地方)を主要な財源とする」と明記、消費税を福祉目的税化し、社会保障充実と消費税増税を常に天秤にかけ、国民にのみ負担を強要しようとしている。際限のない消費税増税と社会保障切り捨ての悪循環を決して認めるわけにはいかない。
 今後の議論を新設する「社会保障制度改革国民会議」で行うとしているが、これは、小泉内閣時代に規制緩和を進め、公的責任を投げ捨ててきた「経済財政諮問会議」の焼き直しに過ぎず、国民の声を無視するものでしかない。

「新システム」は撤回されていない

 子育て関連(新システム)3法案は、総合こども園法案のみ取り下げられた。3法案とも取り下げられたわけはなく「新システム」撤回ではない。
3党合意は、「総合こども園」は撤回し現行の「認定こども園」の拡充となった。もともと認定こども園は直接契約の施設であり、利用料も自由設定となっている。幼保連携型認定こども園を今後の子育て支援施設の中心に置くことは、「看板のつけかえ」にすぎず総合こども園導入のねらいと大差はない。「保育の必要性を市町村が客観的に認定する仕組みを導入」「認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付(施設型給付)及び小規模保育等への給付(地域型保育給付)の創設」と要保育度を認定し、利用者個人へ補助金を給付する直接契約・直接補助の流れはそのままとなっている。
「指定制」は撤回し「認可制度を前提」としながらも、特別な事業がない限り「認可するもの」となっており、認可要件が緩和されれば実質的には「指定制」とかわりない。
子ども・子育て新システムの大きな問題点である(1)直接契約制度を導入し自治体の実施責任をなくす(2)補助金を保育所への補助ではなく利用者への補助に変える(現物給付から現金給付へ)(3)国・自治体の補助対象範囲を限定し利用者負担を増やすなどは残ったままであり、「権利としての福祉」を破壊し「福祉を商品化」しようとする国・厚労省の目的は撤回されていない。
民間保育所については、認定こども園への移行も義務づけず、「市町村が児童福祉法第24条にのっとって、保育の実施義務を引き続き担うことに基づく措置として、民間保育所については、現行どおり、市町村が保育所に委託費を払い、利用者負担の徴収も市町村が行うものとする」と、現行制度を基本とすることになった。しかし、直接契約・直接補助の導入と矛盾しており、既存の民間保育所に対して限定的・特例的に現行制度を維持すると見ることもできる。
修正された法案の成文を分析しなければはっきりしたことは言えないが、保育所に関しては、私たちの運動をはじめ幅広い保育関係者の「子ども・子育て新システム反対!」の声によって押し戻す大きな成果はあったが、新自由主義の流れは断ち切れていない。新自由主義の流れを断ち切らなければ「権利としての保育制度」への攻撃は今後も続くことになる。楽観せず、引き続き「子ども・子育て新システム反対」の運動を強めていかなければならない。

国民の安全を投げ捨てる原発再稼働に強く抗議する

 野田首相は16日、関西電力大飯原発3・4号機にたいし「再起動することを政府の最終的な判断とする」と再稼働の最終決定を行った。国民の多数が原発の再稼働に反対するなか行われた今回の「最終判断」は、「国民の生活」を守るどころか、国民の命と安全を投げ捨てる無責任な行為である。
 福島原発事故は未だに収束せず、福島県民をはじめ日本社会全体に大きな影響を与え続けている。福島原発事故の原因究明も、政府がとりあえずの対策として指示した「安全対策」もまともに行われていないにもかかわらず、なぜ、「事故を防止できる」と断言し再稼働を強行することができるのか。国民の声には耳を傾けず、財界のいいなりの政治を続ける野田内閣を許してはいけない。
 「電力不足」と国民を脅し再稼働が強行された。しかし、過去のデータからも電力のピークは猛暑となる真夏のわずかな日数で限定的な時間(13〜15時頃)のみである。電気の総使用量は、家庭が1/4、産業が3/4を占め、平日の昼間ピーク時では家庭の使用量は9%にすぎない。「電力不足」の対応として必要なのは、原発の再稼働ではなく企業への節電の要請である。にもかかわらず、企業へ節電の要請をせず、逆に企業の要請に応え強行された再稼働の決断は断じて許されない。
 首相官邸前をはじめ、全国各地で幅広い人たちが「原発再稼働反対!」の怒りの声をあげている。「原発ゼロ」を求める多くの人たちと手をつなぎ、引き続き「脱原発、安心・安全な社会の実現」をめざしていく。

6.22中央行動、6.23国民大集会で怒り声を届けよう

 国民的な運動とのせめぎあいのなか、情勢は大きな転換点をむかえている。今、私たちに求められていることは、引き続き「とんでもない!」の怒り声を束ね発信していくことである。6.22中央行動、6.23国民大集会、7.16さようなら原発集会は、職場から地域から集めた怒りの声を政府・厚労省にぶつけるまたとない機会であり、何としても成功させなければならない。
 福祉保育労は「消費税増税反対」「権利としての社会福祉・社会保障を守れ」「原発再稼働反対」など新自由主義に反対する幅広い運動の一翼を担い、引き続き大きな運動をつくることを決意し、全国の組合員に職場・地域からの運動の積み上げを呼びかける。

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